2013年2月1日金曜日

サバティカル日記20 ダカール初日

笑っちゃうね、という感じでダカールが始まった。
 しょうもねえ連中もいるけれど、ここの連中の方がまだモロッコにたくさんいた蠅のような奴等よりいいなあと思える。驚いたのは、買い物をした後、釣り銭がないから次来たとき持ってきてくれ、と私に言った店の親父がいたことだ。次来る?来ることを確信している?へえ、っと驚いた。どう見たって外国人。ましてや英語で喋っているのだから。

 ここもフランスの植民地だったから、フランス語をみな喋る。フランス語が公用語だ。それに共通語としてウォロフ語というのがあるそうだ。でもホテルでもどこでもフランス語しか書かれていない。セネガルが独立したのは1960年のことだからもう50年以上にもなる。1815年にフランス領になり、だから145年はフランスに属させられていたことになる。でも未だに公用語はフランス語である。言葉はアイデンティティだから、フランス語を公用語とすることへの抵抗運動はないのだろうか?バルセロナのあるカタルーニャは未だ独立運動が盛んだけれど。

 ホテルの態度の悪い従業員。昨日、僕が来たときは水をチュウチュウ吸いながら、人のことをねめ回していたけれど、一日経ったら、やけに人が良くなっている。彼は夜の担当なんだが、昼の受付のモハメッド兄さんもまた、ちょいとトンチンカンに親切ではある。こういうトンチンカンな親切というのは実は困ったものでもあるんだが。まあ、嫌う人も多いだろうね。いわゆる通常のサービス感覚じゃない。でもホスピタリティは意外にあったりするから面白い。

 ダカールは物価が高い。全然安くない。感触的にはスペインより高いような……。けれど、全然インフラはなっていない。昼から5時間ほど歩き回ってきたが、もう顔が排気ガスやら埃やらで、ざらざらになっている。そこには汗が蒸発して塩になっている成分もたくさん混じっている。
  モロッコとは全然違う。こちらの方が近代国家ではある。しかし、夜になるとダカールの目抜き通りであるポンピドー通りを除くとまったく街灯がない。真っ暗。近代的高層ビルが次々と建ち並び……と言う人がいるけれど、まあね、そこまでは行かないよね。だからまだいいのかも知れない。

 この街の、たまに出会う英語のできる連中と話をすると、もう文法も単語の発音も滅茶苦茶だけど、凄まじいスピードで知っている単語を並べていく。これは凄い。笑っちゃうほど何を言いたいのか分からないのだが、間がないから、なかなか聞き返せない。昨夜のロイアルエアーモロッコでカサブランカからダカール入りした時の機内の英語も凄まじかった。まるっきり分からない。フランス語なのか英語なのか、それらが混沌としながら出てくる英語だから、さっぱり理解できない。それでもお構いなく次々と言葉を繰り出してくる。今日の兄さんは、インポータントをインポータンスと言って別に悪気なく、たまたま知っているのがインポータンスなんだと思うけれど、それが15秒に一回くらいは登場するような感覚で速射砲の如く語り続けるインポータンス兄さんだったのである。

 女たちの目つきは色っぽいというかエロい目をした女がなんでこんなに多いのだ、と思えるくらいエロい女たちの街である。かなり太ってしまったお姉さんもたくさんいるけれど、非常にスタイルの良い人たちもたくさんいるし、太くても目つきはエロい。ぎょっとするくらいの美女もいる。慣れてしまえば(すぐだ、一瞬で慣れる)、別に黒い肌をしているかどうかはまったく気にならなくなってしまう。でも、ああ、まだまだなんか動物のようだと思う。肌が黒いのも魅力的だなと思う。

 夜は「東京飯店」という中華料理屋に行く。東京?がなんで付いているかサッパリ分からない。店主に聞いてもまるで英語は理解しないし、店主も思いつきでつけたとしか思えない。東京魚、なんてメニューがあったな。なんじゃそりゃ、ではある。英語は通常はほぼ通じないのである。たぶん広東からの人だろう。ああフライドライスの美味いこと!しばらくぶりの中華のうまさ。ここのおばちゃんにやけに親しげな顔で見つめられて少々おどおど。

 今夜はJUST 4 Uというライブハウスに行こうと思っていた。が、何時に始まるか分からない。わざわざタクシーに乗って行かなければならないから、ちょいとそこまで、というわけにはいかないのだ。ユッスンドゥールのライブももしかしたらクラブチョサンという彼のライブハウスで土曜にあるかも。でも開始が夜中の2時なんだとか。眠くてしょうがねえ。でも行かないわけにはいかないでしょ、あるならば、ね。だから明日はJust 4 U で、明後日はClub Chosan だ。スペルはたぶん間違えているだろう。

 そこでその代わりと言っちゃなんだが、たまたま東京飯店から帰ってきたらホテルの向かいにあるレストランから音楽が漏れている。このレストランはホテルのレストランで、ロンプラでは絶賛していた。するすると音楽に惹かれて入ってしまう。けれど、音楽家たちはみんな黒人で、客は全員が白人という図式。そして音楽は白人好みの音楽。アメリカンミュージックなんてやってもしょうがねえだろう、と思うけれどね。ああ、嫌だねえ、こういうのはと思いつつ聞く。巧くもない。そしてマネージャーが白人で、これまた従業員たちが黒人。音楽をくっつけておけば良いというものじゃないだろう。

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