2013年1月16日水曜日

サバティカル日記11 ワルザザード①

  マラケシュは結構、疲れた。人間疲れだ。まるでインドのようで、次から次へと声を掛けられ、人々はいかに嘘を付くかばかり考え、全然信用できない連中の多さたるや、ため息だ。そして若者ばかりだ。が、そもそもこういうグチャグチャした空間に集ってくる若者だから、これまたインチキくさい。まあそれだけにエネルギーは凄いとも言える。言えるが、ごまかしと嘘が本当にせこいから、面倒くさくて、いいやとなってしまう。小悪ばっかりやりやがって、と思って見逃すことにしてはいた。
 それにしても全然、分からなかった。地図を見てもホントに訳がわからなくなってしまうのである。どうにも行こうとするところにたどり着けず、断念したことが何度もある。スークという商売人が集まって、観光客が集まる場所はもの凄い数の商品が売られており、そもそも買う気はゼロだからどうでも良いのだが、この人たちはカメラを向けようものなら金を要求するのが当たり前だ。これはインドとはまったく違う。インド人たちは撮って欲しくて仕方ないので被写体としては楽だ。そしてこのスーク。もう歩く度にどこにいるのか、まるで分からなくなる。グルグルグルグル回りながら、疲れる商売人たちに買え、買えと言われつつ歩くのは、やっぱりシンドイものだ。

 結局、マラケシュは三泊したが、もう充分となって、ワルザザードに行くことにした。サハラエクスペディションって看板はいろいろなところに掛かっている。サハラ探検。短期間で効率よく回るにはこういうツアーに出るのが楽なんだそうだが、ノンビリ行くことにした。そこでまずはワルザザードに入る。ここはサハラへの入口の街である。とは言え、ここに行くまでが凄い。だんだん荒涼としてきて木々がなくなり、草がなくなり、大地しかなくなる。よくぞこんなところに人が住んでいるものだ、と思うようなところでも人は住んでいる。川が流れていれば水がある。山にはまだ雪が残っている。というより、これからか。
 そしてワルザザード。急に荒涼とした大地の中に街が現れる。マラケシュから4時間半でここまで来たのだ、という感慨が沸いてくる。一歩、降りると砂嵐が舞っている。目が痛い。とにかく目を開けてはいられないのだ。そしてすべては壁もなにもかも街全体が土色である。赤い土の色をしている。
 街は大通りがあって、非常に分かりやすいはずが、これまたホテルの受付に従って歩くとわけが分からなくなる。迷路ではまったくないが、どうにも分からない地図だ。そして砂が舞い続けている。ブルーノシュルツの小説の背景とはまったく違うけれど、シュルツのストリートオブクロコダイルを思い出す。地図があってもたどり着けない。まさにマラケシュがそうだった。ワルザザードはまるで違うが、人の案内がないと分からなくなる。言うことも人によって違う。実際、観光案内所で聞いた場所も案内人が間違えていた。
 モロッコというと、ポウルボウルズがそうだったな。シェルタリングスカイ……。ボウルズはこの迷宮感覚に魅せられたのだろう。よく分かる。考えよう、見ようによっては楽しい。

 放っておくと、食事はパンと肉になってしまう。野菜が欲しい。野菜を意識して欲しないと、ジャガイモくらいしか食えない。

 明日はレンタカーを借りて、このあたりを走ってみようと思う。こういう場所は自分で歩くことだ。それが一番である。

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