2013年1月4日金曜日

サバティカル日記2  1/4 夕方 マドリッドにて

1/4 夕方 マドリッドにて

昨日は、ルーブル美術館に行き、50分も並んで中に入り、4時間近く見て回った。
昔の印象はまったくなくなっていた。記憶が抜け落ちているかの如く、何にも覚えていない。見たはずなのだが、何にもない。あまりに圧倒させられる量にフラット化したのだろうか。物量が多すぎるというのは決して良いわけではない。とにかく見て回ることが目的化してしまいがちだ。あれだけの量があれば、じっくり一点を見つめることはできにくい。小さな美術館でさえそうなのだから、ルーブルになればもう見て回るだけ。エジプト、オリエント、ギリシア、ローマ……このあたりの創造物を除けば、あとはキリストのオンパレードになる。圧倒させられるキリストの物量。いかに強烈にヨーロッパがキリスト教と共に生きているかは、毎度のことだが美術品を見る度にそう思う。旅をしても同じ。結局、キリストだ。キリスト教は選民思想もあるから、当然の如くヨーロッパ第一主義が根本的な思想になっていく。僕がヨーロッパを横目でしか見ることができないのは、やはりこの思想にある。もちろんそんなに単純に言い切っていいわけではない。だが、実際にいろいろなことに接する度にそれを感じるのだから仕方がない。
ルーブルが昔と違って圧倒的に面白かったのは、エジプトであった。さまざまな半獣半人像があって、それが非常に面白かった。かつ、土偶のような置物もあれば棺桶も多様に陳列されている。今でもサブカル的に半獣半人は描かれるが、そもそも現状況に対しての行き場のなさが、こうした半獣半人に現れてくるのだろう。
これがギリシア、ローマになってくると、半獣半人は激減する。民間伝承等では獣人はどこでも描かれてきたわけだから、ギリシア、ローマでもないわけはない。でもこれほど面白いテーマが消えていったのはどうしてなのだろう。

と、そんなこんなで、4時間見て、空港に向かい、マドリッド入りは夜の22時半。中心地に出る。パリとは雰囲気はずいぶん違って、パリよりもスッと開放感が増す感じ。
マドリッドの町を歩き、バルを覗き、ホテルを探すがなかなか見つからず。こんな時間なのに閉まっている店はない。レストランでもだいたい24時近くまではやっている。
 
疲れ切ってホテルに辿り着くが、あまりに腹が減ったので一番近くの店に飛び込むとピザ屋だった。でもこれがうまい。赤ワインも頼んだが、水より安い。一杯の赤ワインが1.8ユーロ。水が2ユーロだかんね。

翌朝、というか今朝。ぐったりしながら起き出す。どうしようか、一応、観光でもしようか、と町中に出て、カフェで朝食。オレンジジュースとイベリコ豚とチーズを挟んだパン、それから珈琲ウィズミルク。どれもビックリするほど美味い。これで3.6ユーロ。日本円に直すと安くはないが、でもこちらでは他の物価を考えるとかなり安い。
ブラブラ町を歩く。まあ、面白い。が、所詮はヨーロッパだ。だんだん飽きてくる。まだ早いよと言われそうだが、ヨーロッパは基本は一緒だ。王宮に行ってみる。ゴテゴテした内装で、どこかしら血塗られた感触があるが、ここでずっと過ごした王たちはどんな思いで過ごしたのかと思う。なぜなら、空間が全体に不気味だからだ。しかし、不気味空間に嵌っているかのように、警備員たちの目つきがなかなか鋭い。そして威圧的な態度でいる。この人たちは一体どうやって選ばれているのだろう。あるいはこの空間に入るとそういう目つきになるのかも知れないと感じた。
巨大バルがあって、そこに入ってみると、どれもこれも美味そうで、海鮮物もぎっしりと並んでいる。しかし、疲れ切ってしまっていたので、とてもじゃないが立って食う元気がない。だが、スペインの飯は美味そうだ。文化混淆の素敵さがそこかしこから匂ってくる
結局、カフェに入り、カフェの昼定食を食いながら書いている次第。昼定食と言ってももう16時を過ぎている。けれどこちらの連中は朝はホントに静か。誰もいない。朝9時くらいにならないと明るくならないし。

0 件のコメント:

コメントを投稿