2013年1月23日水曜日

サバティカル日記15 フェズ

世界一の迷宮都市と言われるフェズ。千二百年も昔にできた街がそのまま残されているのである。

 フェズに昨夜入り、今日はその迷宮を歩いてみた。ホントに細い路地がたくさん張り巡らされていて、混沌とするが、それよりもフェズの連中はなんで女も男もみんなペッペと路上にツバを吐くんだろう、とそれが気になって仕方がなかった。カフェに入れば、誰もいなくなってしまって金を払いたくても払えない状態に追いやられる。昨日のバスの中でもそうだったが、とにかく男同士、よく喋る。昨日のバスの中なんて、バスの運転手ふたりの会話が5時間途切れず。途中でもうひとりの運転手を乗せ、計3人でのバカ笑いと大声での会話が4時間。最後の一時間はひとりになったけれど、そのひとりはひとりになった途端に携帯電話を手放さず、一時間の間に10本くらい電話掛けをしていた。ところがこれがホントに危険。バスがフラフラフラフラと移動していく。男同士のこの会話好きにはいったいどんなメンタリティが働いたらこうなるの?と思うくらい妙なほどでかい声で延々と喋る。路上でも男同士、喋りすぎるくらい喋っている。

 かと思うと自称ガイドが寄ってきてやかましくて仕方がない。この蠅のように付きまとってくる連中ばかりか、写真を撮ってもいないのに、写真撮ったろ、見せろとしつこく言ってくる男もいる。金くれ、金くれ、と路上で手を差し出す人の数も数知れず。かと思うと、二十歳前くらいの女の子が売春しようとするのも勘弁してよ、だ。200DH、だいたい二千円強でどうだと言われてもゲッソリしかしない。子供には気をつけなければいけない。子供だと思って油断すると、ぞろぞろと付いてきて、あっちはクローズだ、あっちにカラウィンモスクだ、と案内しようとするが、「ラ・シューカラン」(No, Thank you)と言って追い払わないと、マネーマネーとどこまでも付いてくる。金をせびる子供は世界中、結構いるが、ここまであからさまに金をせびる子供たちはモロッコではじめて出会った。その狭いメディナの通路を馬が通り、ロバが通る。人間はギリギリ、壁に貼り付いて避けなければならない。
  そうか、これが昔から僕が憧れた迷宮都市なのかと思って、ホントにガッカリした。世界に名だたるフェズの街だが、人間の欲望もまた、その歴史とともに残り、発展させてきたのだろう。

 フェズに一番長くいるつもりで来たのだが、すぐに立ち去ることにする。明日はシャウエンに入る。

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