2013年1月3日木曜日

サバティカル日記1  1月3日 朝  パリ

1/3 朝

パリの朝、クロワッサンが美味い。この味は日本じゃ味わえない。エスプレッソも最高だ。エスプレッソを一口飲んで砂糖を囓る。苦みと甘味が混じり合う。
今、パレスドイタリー駅のすぐ側のカフェ。パリは久しぶり。4年ぶりくらいだな。こういうヨーロッパの風景に昔はずいぶん憧れたものだが、次第にあまり楽しくなくなった。最初に海外に出たのもパリで、とってもときめいていたのに少しずつ醒めていった。それはヨーロッパのあり方がどうも好きになれなかったからだ。とは言え、はるかに日本よりは開放感があって、気持ちが晴れていく。
昨夜、シャルルドゴールの空港から何度も電車には乗ってパリ入りしたのだったが、まったくさまがわりしていて戸惑った。市内に入って飯を食いに外に出るが、それにしても食費はかかる。ホテルも高い。ユーロもドルも急激に上がって、2カ月前に比べると、成田の両替所では1ドルが89円になり、1ユーロが120円にまで跳ね上がっていた。食べたいわけではなく、マクドナルドに入って値段をチェックしてみると、いかにも日本の方がはるかに安く感じる。1ユーロ=120円でさえそうだ。3年か4年前にヨーロッパに来たときは1ユーロが165円していて、その時は飯さえまともに食えなかった。屋台のホットドックと珈琲を買っても1500円くらいになっていた。レストランなんてとても入れなかったな、と思い出す。
昨夜は、ホテル近くの中華料理屋に行く。パリのチャイニーズを美味いと思ったことはない。やはりどんな飯でも地元の飯が一番うまい、と言いたいが、そういうところもあれば、そうでないところもある。フランスはヨーロッパでは飯がうまい。うまいが、やっぱり俺はつくづくアジアの方が良いと思ってしまう。このクロワッサンでさえ、次第にバター味が鼻についてくる。けれど、ああ、このシズル感。
今朝、作曲家の中川俊郎さんからメールをもらい、快晴の空の下で……と書いてきた。私が快晴の空の下にいるという意味。でも快晴じゃない。今朝は雨がしっとりと降っている。このしっとり感がたまらなくいい。路面が光って、寒空の下、人が行き交う。嬉しそうな顔、悲しげな顔、うつむいたまま一歩一歩確かめながら歩く人、子供を何人も連れたお母さん、大きな荷物を抱えたホームレス……人は見ているだけで面白い。
同じく昔、国際交流基金の事業部長をしていた岡さんからもメールをもらう。彼女は今、青山学院大学の教授をしている。同じく大学からサバティカルをもらって、パリにいるのだが、たまたま今はワシントンだという。帰りにはパリに寄らないかと言ってくれる。そしてマリとイスラエルの大使館にいる知人を紹介してくれた。嬉しいね。
このサバティカルで何をしようか、と思う。何もしないのが良いのだが、何もしないのは性分に合わない。少なくとも、日記のような文章は書こう。
さて、今日はどうしようか。今10時半でフライトが19時だから、そんなにノンビリできるわけじゃない。雨も降っている。ならば、ルーブルかな。20年ぶりにルーブルに浸るか。

0 件のコメント:

コメントを投稿