1/3 朝
パリの朝、クロワッサンが美味い。この味は日本じゃ味わえない。 エスプレッソも最高だ。エスプレッソを一口飲んで砂糖を囓る。苦 みと甘味が混じり合う。
今、パレスドイタリー駅のすぐ側のカフェ。パリは久しぶり。4年 ぶりくらいだな。こういうヨーロッパの風景に昔はずいぶん憧れた ものだが、次第にあまり楽しくなくなった。最初に海外に出たのも パリで、とってもときめいていたのに少しずつ醒めていった。それ はヨーロッパのあり方がどうも好きになれなかったからだ。とは言 え、はるかに日本よりは開放感があって、気持ちが晴れていく。
昨夜、シャルルドゴールの空港から何度も電車には乗ってパリ入り したのだったが、まったくさまがわりしていて戸惑った。市内に入 って飯を食いに外に出るが、それにしても食費はかかる。ホテルも 高い。ユーロもドルも急激に上がって、2カ月前に比べると、成田 の両替所では1ドルが89円になり、1ユーロが120円にまで跳ね上がっていた。食べたいわけではなく、マクド ナルドに入って値段をチェックしてみると、いかにも日本の方がは るかに安く感じる。1ユーロ=120円でさえそうだ。3年か4年 前にヨーロッパに来たときは1ユーロが165円していて、その時 は飯さえまともに食えなかった。屋台のホットドックと珈琲を買っ ても1500円くらいになっていた。レストランなんてとても入れ なかったな、と思い出す。
昨夜は、ホテル近くの中華料理屋に行く。パリのチャイニーズを美 味いと思ったことはない。やはりどんな飯でも地元の飯が一番うま い、と言いたいが、そういうところもあれば、そうでないところも ある。フランスはヨーロッパでは飯がうまい。うまいが、やっぱり 俺はつくづくアジアの方が良いと思ってしまう。このクロワッサン でさえ、次第にバター味が鼻についてくる。けれど、ああ、このシ ズル感。
今朝、作曲家の中川俊郎さんからメールをもらい、快晴の空の下で ……と書いてきた。私が快晴の空の下にいるという意味。でも快晴 じゃない。今朝は雨がしっとりと降っている。このしっとり感がた まらなくいい。路面が光って、寒空の下、人が行き交う。嬉しそう な顔、悲しげな顔、うつむいたまま一歩一歩確かめながら歩く人、 子供を何人も連れたお母さん、大きな荷物を抱えたホームレス…… 人は見ているだけで面白い。
同じく昔、国際交流基金の事業部長をしていた岡さんからもメール をもらう。彼女は今、青山学院大学の教授をしている。同じく大学 からサバティカルをもらって、パリにいるのだが、たまたま今はワ シントンだという。帰りにはパリに寄らないかと言ってくれる。そ してマリとイスラエルの大使館にいる知人を紹介してくれた。嬉し いね。
このサバティカルで何をしようか、と思う。何もしないのが良いの だが、何もしないのは性分に合わない。少なくとも、日記のような 文章は書こう。
さて、今日はどうしようか。今10時半でフライトが19時だから 、そんなにノンビリできるわけじゃない。雨も降っている。ならば 、ルーブルかな。20年ぶりにルーブルに浸るか。
パリの朝、クロワッサンが美味い。この味は日本じゃ味わえない。
今、パレスドイタリー駅のすぐ側のカフェ。パリは久しぶり。4年
昨夜、シャルルドゴールの空港から何度も電車には乗ってパリ入り
昨夜は、ホテル近くの中華料理屋に行く。パリのチャイニーズを美
今朝、作曲家の中川俊郎さんからメールをもらい、快晴の空の下で
同じく昔、国際交流基金の事業部長をしていた岡さんからもメール
このサバティカルで何をしようか、と思う。何もしないのが良いの
さて、今日はどうしようか。今10時半でフライトが19時だから
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